編集後記

 年が明けて雪景色にも光が強まってきました。夜が明けるのも、日が暮れるのもつややかな変化があり、寒いながらも希望が感じられます。年末になって何もしないうちに1年が過ぎたとぼやかない様に一日一日を大事に過ごしたいものです。    

        藤倉万里子

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

  

                                    

    621日、船は昼近くにベトナム・ダナンに入港。デッキに立つと触れる風が暑い。港の広場で、日笠にアオザイ姿の女性が100人余り、歓迎の踊りを披露してくれた。しかしSARSの影響か、港には船の出入りは少く閑散としている。今日はダナンからバスで3時間程のキラ村に、ホームステイの予定。村の歓迎セレモニーの後、夕刻5人のグループで農家のゴーさん(ngo =55歳)の家に泊まる。

  家族は夫婦と子供二人の4人とかで、この辺では中堅農家とか。この地区は様々な事情で英語は通じないとの事なので、スタッフが日本で作成した「ベトナム語絵文字会話集」で、指差し会話となる。10畳程の居間兼寝室に入ると、お父さんが「柄ゴザ」 を敷いた祭壇の下(貴賓席)に案内。数種のベトナム料理を出され、遅い食事が始まったが、彼らは私たちの食べる様子を見守っている。寡黙な家長ゴーさんだが、食事が終るころ地酒を盃に入れて振舞ってくれる。

 かなり癖のあるアルコール度の高い酒で、貴重な飲み物なので一杯だけだという。私はお返しにと、持参した日本の焼酎「大五郎、1.8ℓ」のペットボトルの封を切り、注ぐ。彼は目を丸くして旨そうに飲んだが、ボトルをお土産だと渡すと、「そんな貴重な物を」という身振り。が、受け取ると嬉しそうに初めて笑顔を見せる。(翌日、近所の仲間を呼んで、朝から昼頃までに二人で空けてしまったのには、ビックリ)。まもなく就寝したものの水田地帯の夜は蒸し暑く、居間の窓は開け放し状態。当然家の中に蚊は入ってくる。毛布をお腹にかけて天井を眺めると何か動くものが。エッ!、大小8匹の「ヤモリ」が天井にへばりついている。目をこらして見ると天井に止った蚊を、頻繁に舌先を伸ばし捕食している。

 この家では、蚊やハエの害虫をヤモリが食べて人を守り、蚊帳も殺虫スプレーもいらないなのだ。まさに人間と自然の共生がここにある。(守宮=ヤモリの語源?)翌朝、明け方四時頃、何度も「コケコッコー」というオンドリ(雄鳥)のけたたましい鳴き声で目を覚ます。この村の生きた目覚まし時計は元気だ。起きだし腕や足を見たが、蚊には刺されていない。すでにお母さんは日の出と共に起きだし、朝食の用意を始めた様子。

テキスト ボックス: 港の歓迎セレモニー

                     起床後一宿一飯のお礼にと、食事前に家の周りの畦草刈り農作業が予定されていた。それではと、借りた鎌は、何十年も使っただろうハガネが磨り減り、ほとんど切れない代物。草を刈るというより引きちぎる感じである。ふと田んぼの中を見ると大きな田螺がいる。これは除草剤などの農薬を使ってない証拠、日本も私の子供の頃は、そうであった。二時間ほどで作業を終えたが、汗がひたたり落ちる。一緒に働くはずのゴーさんは二日酔いか、起きてこない。自転車で散歩をすると近所に中国風の祠や、神社とおぼしき建物が有るものの、共産主義国家で偶像禁止のお国柄、仏像や神仏画は見当たらない

 朝食後は昼まで交流タイム。家族と写真を撮ったりゲーム等をして過し、昼食にベトナム麺を食べる。

お母さん手作り


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